特集 「ワールド・ソーラー・チャレンジ」 壮絶な戦いに潜入

公開 : 2017.12.10 11:40

「ワールド・ソーラー・チャレンジ」、ご存知ですか? 一見、エコで楽しそうな響きですが、実際は「壮絶」のひとこと。ジェレミー・テイラー記者が実際に参加し、記事にしました。

text:Jeremy Taylor(ジェレミー・テイラー)

もくじ

極めて過酷な挑戦
最も奇妙な光景
太陽光だけが頼り
いざ参加してみると
番外編1 3つのクラス 違いは?
番外編2 数字で見る太陽レース

極めて過酷な挑戦

「南回帰線を横切れ、備蓄の変動を避けよ、世界最長の柵を超えろ、闖入者に注意しろ」

レース・ルートの説明書はホビット族の道路地図のようだ。

2年ごとに開催されるブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジの競技者は、地上で最も過酷な場所のひとつでレースをする。

長い間、オーストラリアで最も危険で過酷な道として怖れられてきた悪名高いスチュアート・ハイウエイを、ダーウィンからアデレードまで2977km進むのだ。

細いタイヤを履いたエアコンのない軽量なクルマを運転する各チームのメンバーはほぼ学生で、彼らは焼けつくような気温、予測のつかない野生動物、50mもある縦列トラックの轍を乗り越えていかなければならない。ただチェッカー・フラッグを受けるために。

この不毛の地では2007年まで速度制限がなく、飲酒運転も当たり前だった。ここは1994年にオーストラリアで初の、そして唯一の、キャノンボール・レースが開催されたコースなのだ。そのレースではフェラーリF40がチェックポイントでクラッシュし、4人が亡くなった。

ソーラー・イベントの管理者であるクリス・セルウッドはレースの意義を、次のように説明する。

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