マセラティ・ギブリSに試乗 マイナーチェンジした2018年型 手放しに推せず
公開 : 2017.12.08 11:50 更新 : 2017.12.08 11:53
「心から楽しめる」とは言えない
コンフォートモードでの乗り心地は、若干柔らかすぎる印象があり、起伏を超えた時などに沈み込みが大きく、パタパタと落ち着かないところがある。
スポーツモードを選べば、少し締まりが増しロールも制限されるが、落ち着きという面では、もう少し硬さが欲しいところだ。
ディーゼルエンジンのモデルでは、このふたつのモード間の差はより大きく、後輪の沈み込みも少なかったはずだ。しかし、ディーゼルモデルの足回りの乱れはより早い段階から発生するので、快適なペースは若干低め。
一方で、ガソリンエンジン仕様は、マセラティが従来の油圧よりも電動パワーステアリングの方が優れていると主張する通り、鋭く確かな手応えがあり、より楽しめる操縦性を得ている。
この電動システムの場合、低速域でのセンター付近のコーナリング時の応力が、従来の0.4gから0.8gへと上昇している。路上でのステアリングホイールの操舵感覚は重すぎることもなく、今日の平均的なものだと感じた。
今回のテスト車の場合は、心から楽しめる完成度を持ったギブリである、とまで断言できないのが本音。理由は、英国の場合、右ハンドルで四輪駆動となるS Q4が存在するからだ。
そのモデルなら、コーナーをもっと威勢良く攻めることができるし、熱くなるエグゾーストの快音を聞きながら、4輪ドリフトを決めることができるだろう。ボディコントロールという面では及ばない部分があっても、峠道を十分楽しんで、駆け回れる仕上がりのはず。
また、S Q4はクルージング時は驚くほど静かで、車内の視覚的な洗練性と調和する、音質面での上質さも提供してくれるのだ。