新型フォルクスワーゲン・ポロ「GTI」試乗記 2018年型は「正当派」
公開 : 2017.12.14 11:40 更新 : 2018.01.11 18:08
どんな感じ?
責任者は「あの男」 ゆえの期待
このクルマのサスペンション・チューンの責任者は、VWのシャシー開発のチーフであるカルステン・シェプスダートである。素晴らしいゴルフGTIクラブスポーツSのハンドリングを担当した人物だ。
もしこのポロGTIがそのバッジに真にふさわしい最初のポロであるならば、主な理由はおそらくカルステンそのひとだ。従ってGTIについて詳細に触れる前に、彼の経歴を説明することが適切だろう。
シェプスダートのキャリアは1990年代半ばのフォードで始まった。リチャード・パリージョーンズやロータスのジョン・マイルズらそうそうたる人物から仕事を学んだ彼が、初めて一から開発にかかわったクルマがエポック・メーキングな最初のフォーカスであった。
彼は2000年代の初めにフォルクスワーゲンに入社したが、このときの経験は5代目ゴルフの開発にとても役に立った。10年後にはポルシェに移籍し、997世代ポルシェ911のGTバージョンのフェイスリフトにすべて関わった。
わたしの知るところでは、3つの違ったクラブで優勝したサッカー選手はクラレンス・セードルフだけであり、カルステンに匹敵する経歴を持つサッカー選手は彼だけだと断言する。
閑話休題。シェプスダートはルノースポールやフォードSTではなく、GTIを作ってきたのだということを忘れてはいけない。ここ10年以上にわたり、GTIの3文字は運転が楽しく、実用的で、手ごろな価格のバランスの取れた高性能車の代名詞になってきたのだ。これは偶然ではない。
したがって、この新しいホット・ポロの乗り心地がフィエスタSTほどほど硬くなく、ハンドリングもそれほど鋭く活発でないことは当然かもしれない。しかし、だからといって運転がつまらなかったり、ダイナミックな高性能を思う存分発揮させるのを邪魔するようなこともない。とんでもない。
これは単に、大多数のGTIオーナーがこのクルマをどう使おうとするのか、フォルクスワーゲンがよくわかっているからである。毎日、いろんな旅行で、どんな天候や道路状況でも。彼らは運転の楽しみのために我慢をするなんてことはしたくないのだ。