新型フォルクスワーゲン・ポロ「GTI」試乗記 2018年型は「正当派」

公開 : 2017.12.14 11:40  更新 : 2018.01.11 18:08

新型ポロGTI 気になるところ

気になるところといえば、マニュアル・モードでも高回転をホールドすることはできず、6500rpmのレッドラインのずっと手前で自動的にシフトアップされてしまう。そして、マニュアル・モードでもアクセル・ペダルを踏み込んだ時のキックダウンはキャンセルされない。こういうシフト・マナーは余計なお世話というべきもので、VWらしからぬ過ちだ。

卓越したパフォーマンスは十分に速いと感じさせるが、もちろん、息を止めるような種類のものではない。5000rpmを超えてもポロGTIよりエンジンの吹け上がりが鋭いライバルはいる。

しかし、このクルマよりピーク・トルクが大きなクルマは多くない。これで吹け上がりの多少の鈍さは帳消しになり、ポロGTIはほとんどのライバルよりも簡単に速く走ることができる。

かなりマイルドにチューンされた、スポーツモードでもしなやかな乗り心地は、そこそこのスピードで飛ばすにはぴったりである。しかも、タイトなサーキットでもソフトすぎるとか鈍いとか感じさせることもない。ハードウエアに十分投資したおかげで、ドライでもウェットでもグリップは十分。走りは安定しており、そのためポロGTIは真のドライバーズカーになり得ている。

高速コーナーではハンドリング・バランスを崩すことなく好きなだけ外側のタイヤに車重をかけることができる。ブレーキを残してより低速なコーナーに飛び込めば、リアは穏やかだが明確に外側に膨らみ、結果としてコーナリングはニュートラル・ステアになる。アスファルトを鷲掴みにする感覚を感じながら、針に糸を通すような正確さでクルマを操ることができるのだ。あるいは、リアの荷重を抜いてブレーキを酷使することで、サーキットを楽しく暴れまわることもできる。ブレーキは優秀でフェードの心配もない。これは完ぺきなしつらえの高性能車だ。

ゴルフGTIと同じく、ポロのスタビリティ・コントロール・システムも完全にオフにはできないが、ESPをスポーツモードにすれば、余計なお節介を受けることなく自由にサーキット走行を楽しむことができる。

32.6kg-mのトルクがフロントにかかっている以上、アクセル・ペダルを急に踏みすぎればホイールスピンは避けられないが、時にだらしなくなることはあるものの、ほとんどの場合クルマをしっかりと制御することができる。

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