後編 高速グループテスト ヴェイロン vs 911GT3 RS vs ガヤルド・スーパーレジェーラ vs DB9 vs R8 回顧録
公開 : 2017.12.17 16:10
DB9 スピード以外の魅力が
GT3がヴェイロンに引き離される理由はそれに足るだけのスペックが備わっていないからで、結局のところ530psで1330kgを振り回すスーパーレジェーラと、「たった」の415psで1375kgを動かさなければならないGT3RSの違いだ。
そしてこの違いが、あっという間にヴェイロンに置き去りにされてしまう者と、少なくとも勝負を楽しめるくらいはついて行ける者を分け隔てる壁となっている。
DB9スポーツやR8であれば、そのような話は当てはまらない。DB9であれば、ドライブがとてもエキサイティングであり、スピードだけがすべてではないことを教えてくれる。
今回のこの場でなければ、どんなクルマと比較しても素晴らしく速くて洗練されたマシンという評価をDB9は獲得できるはずである。しかし今回だけは別。ほかの4台に比べると、DB9にはまるでお気に入りのロッキングチェアに座っているかのような安楽さが漂っている。
それは柔らかめのシャシーのレスポンスの甘さとストレートでの加速力不足からくる印象だが、しかしだからといって価値がひっくり返るわけではない。運転していて惚れぼれするほど楽しいクルマである事実にはまったく変わりがないのだから。
エンジンが目覚めるときの音もまたいい。ほとんどスーパーレジェーラの雄叫びと変わらないくらいの音量でありながら、音質には格段の厚みがある。さらにステアリングを通して伝わるフィールにも優雅さがあり、乗り心地もはるかに洗練されたものになっている。
さらにDB9ならではの美点もあるが、しかし……。