718ケイマン「GTS」と「S」の差別化むずかしく よさ「GTS」ゆえにあらず 試乗記

公開 : 2017.12.21 11:10  更新 : 2017.12.21 14:27

ハンドリングは最高レベル しかし音が…

これは、ミド・エンジンのニルバーナなのか?

エンジンをドライバーの直ぐ後ろに搭載していることが、そう言わしめる訳だ。

俊敏で、正確、そしてダイレクト。しかもドライバーのミスにも寛大である。26のコーナーを持つ迷路のようなアスカリのレイアウトでは、コーナーの中腹でレコードラインやブレーキのタイミングをはずしたりすることは茶飯事であるが、GTSはいたって寛大。お節介なくらいである。ドライバーは慣性マスの移動を感じることはあっても脅威ではない。

これらはドライバーがへまを侵した時に起こることであるが、一方で、ドライバーが上手くやったらどうなるかというと、ケイマンは実に見事である。どれほどかというと、BMW M2、アウディTT RS、そしてジャガー・F-タイプといったライバル達が、戦意を無くすほどである。

物凄く懐が深く、素晴らしくバランスが取れていて、やる気を駆り立てる、そういうクルマなのだ。インストラクターからスピードに対する注意喚起を受けても、尚そう思える。

では、何が問題だというのか? 冒頭で、標準モデルのケイマンSとの違いがわからないと言った。しかし、根底にあるのはそのサウンドである。そうなのである、やはり、そこである。

何を施そうとも、GTSのスポーツ・エグゾーストは、ボクサー・エンジンのくぐもった低音を、より鮮明に、より耳に届きやすく、そして、より耳障りにしている。

先代の6気筒エンジンを搭載したモデルでは、スポーツ・エグゾースト・スイッチは、飾りではなかった。しかし、このモデルでは、その役目を果たしていない。時速300kmを誇るスポーツカーにとっては、残念なことである。

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