メリークリスマス! アストン マーティンDB11とゆく、ツリーをめぐる冒険
公開 : 2017.12.25 17:10 更新 : 2017.12.27 11:35
求めているのは、自由に育った天然の木
この旅の出発地点となるのは、アーガイル・フォレスト・パークにあるグレンブランターだ。ここはスコットランド森林委員会に最初にリースされた私有地である。
観光客サービス・マネージャーのシュー・モリスが出迎えてくれ、われわれが理想の松を探せるよう木に詳しいアンディ・ケルとスティーヴィー・クーパーを紹介してくれた。
今回運転するDB11は608psを発揮するV12を搭載しており、約2746万円のメーカー希望小売価格には、オプションとなる約53万円のモーニング・フロスト・ホワイト塗装と約71万円するダイヤモンド旋削仕上げの20インチ合金ホイールが含まれている。
きらめく小川の横を通ったり、鬱蒼とした森へと続く泥道を上ったりする時にこのクルマの低いうなり声が心地よい自然の音を掻き消してしまい、全くその場に馴染んでいなかったが……。
ケルが連れてきた小さな犬のネスがふかふかのミズゴケで足元が覆われた巨大な松林の中を先導してくれた。われわれが求めているのは家庭でよく使われるような栽培されたクリスマスツリーではなく、1万エーカーほどのゴツゴツした地で自由に育った天然の木である。
われわれの理想と完全に一致する、1.8mほどの立派な松の木が太陽に照らされていた。素人のわたしでもその木が素晴らしいとわかった。オスロから毎年贈られる木は通称「森の女王」と呼ばれているので、それに対抗するに相応しい名としてわれわれの木は「松のロバート」とした。
ストラップを使って松をDB11のルーフにくくりつける際、最大限の空力効率を得るために先端が後方を向くようにした。ケルはこの木が7年間の間、幾度となく山腹をかすめる強風に耐えてきたことを教えてくれたが、以前ある顧客がここの木をエディンバラまで177km運搬しただけで傷んでしまったことも忠告してくれたのだ。
いざグレンブランターを出発して走り出すと、木はしっかりと固定されているものの、時速64km/hを超えるとストラップがまるでベースの弦のように振動した。
同行したフォトグラファーがストラップの緩んでいる方を張っている方に巻きつけて空気流を遮ると問題は解決した。さらに、窓を完全に閉めることができないのでいつもより少し風切り音が響くが、耐えられないほどではない。
そんなことよりも遥かに大きな弱点が出てきた。