メリークリスマス! アストン マーティンDB11とゆく、ツリーをめぐる冒険
公開 : 2017.12.25 17:10 更新 : 2017.12.27 11:35
元凶は濡れたアスファルト、氷点下の気温
遥かに大きな弱点。それは濡れたアスファルトと氷点下の気温のせいで、DB11の後輪に履かせているブリヂストン・ポテンザS007の295mm幅のサマータイヤでは最大トルク71.3kg-mをうまく伝達しきれないのだ。慎重にアクセルを踏みながらグレン・コー峡谷の上部へと向かった。
南東方向には18世紀にウェイド司令官が建設した軍用道路が蛇のようにクネクネしながら谷底へと続くのが見える。その軍用道路は、上を通るA83という道が地滑りで閉鎖された時にのみ一般開放されて通行することができる。
道路の建設を記念して建てられた石碑に刻印されている「Rest and Be Thankful」という言葉は、この場所の名前にもなっている。
今となっては知っているひとも少ないだろうが、1970年まではAUTOCARが定期的にその古い道路でヒルクライム・イベントを主催していたのだ。
ジャッキー・スチュワートやジム・クラークといったレーサーが高低差約123m、距離約1.3kmのコースで競っていた。実はわれわれのDB11もこの地に結びつきがある。アストンが造るレーシングカーの先駆的なDB3が1953年にここで最初のクラス優勝を果たしたのだ。
クーパー・クライマックスFPFの奏でる音がここの山腹に響き渡るのを耳にすることはもう叶わないが、Rest and Be Thankful遺産保存プロジェクトがモータースポーツ展示センターを併設した案内所を近々作ろうとしているので、それに期待を寄せるとしよう。
その場を立ち去る前、多くのひとにスマホのカメラを向けられた。DB11はいつも羨望の眼差しを浴びて注目の的になるクルマだが、今回はルーフに木があるし、クリスマスが近づいていることもあってことさら熱烈な声援を受けた。
そこで、気づいたことがある。