メリークリスマス! アストン マーティンDB11とゆく、ツリーをめぐる冒険
公開 : 2017.12.25 17:10 更新 : 2017.12.27 11:35
チャーンサイドとアストンの意外な関係
チャーンサイドには、アストンDBR1を繰ってル・マン24時間レースで3位を獲得し、やり手のボーダー・リーヴァーズ・チームに貢献したクラークが安らかに眠っている。
彼の墓石には敢えて空白のスペースが残されているが、それは、ホッケンハイムのレースで32歳という若さで事故死さえしなければフォーミュラ1での通算勝利数25回、ワールド・チャンピオンシップ2回、インディ500のブリックヤード戦優勝という戦績に加えてさらに多くの勝利を獲得できたであろうことをほのめかしている。
近くのダンスという町にはこの「シャイなチャンピオン」を称える博物館があり、2018年には拡張リニューアルするようだ。
一面嵐雲で覆われたイギリスの空のもと、われわれはツイード川に架かる古いベリック橋を渡った。風が吹き荒れ雹が降るなか、AUTOCAR編集者のマーク・ティショーへのクリスマスプレゼントとして名物の蜂蜜酒を買うため、リンディス・ファーン島へと続く土手道を進んだ。この道は干潮時にだけ出現するのだが、この時はまだ一部が水に浸かっている状態だった。
松のロバートは痛手を負ってはいたものの、しっかりとクルマにつかまっていた。パピオールが激しい雨に打たれながらカメラのファインダーをのぞいている間、わたしは革張りの室内でぬくぬく温まっていられた。だいぶ改善されてはいるが、アストンはまだ内装のしつらえが最高とは言い難いし、収納スペースもほんのちょっとしかない。それでも、車内には高級感が充満している。センスが素材を上回るのだ。
悪天候の回復はもう諦めるとして、ところどころ荒れた路面のノーサンブリアB道路でDB11の性能を試してみることにした。後輪は4速でも鳴くが、それを味わうためにこのクルマのパワーをすべて使う必要もない。フロント・アクスルは素早いレスポンスを可能にし、コーナリングの際にシミー現象が発生したとしても軽度で、ロールもうまく抑制されている。
最もハードなスポーツ・プラス・モードでは、パドル操作で簡単に素早くシフト・ダウンを行うことができる。しかし何と言っても圧巻なのは大きくて頑丈なエンジンだろう。
エンジンの唸りは1500rpmから力強くなり、2500rpmからは騒々しくなり、7000rpmのレッドゾーンにかけて堂々たる咆哮へと変わる。素晴らしい音を奏でるこのV12は、大排気量のおかげでターボラグをほぼ解消できている。