BMW M5新型、4.4ℓV8ターボや4WDを検証 AMG E63との違いも
公開 : 2017.12.28 11:40 更新 : 2017.12.28 11:59
4.4ℓV8ターボ/4WDを検証
先代モデルと同様に、変速機の前には4.4ℓV8エンジンが鎮座するが、このエンジンには多くのアップデートが施されている。ターボチャージャーは見直され、インジェクション・プレッシャーは、350barに引き上げられた。バンクを交差するエグゾースト・パイプは改められ、冷却システムは、小型化を図りつつ効率性を高めた。
その結果、このエンジンは、5600-6700rpmで600psの最高出力と、1800-5600rpmで76.4kg-mの最大トルクを発揮する。マクラーレンF1の最高出力と比べても、その差は30psでしかないが、今日のビッグスーパーサルーンは皆、同水準の数値を標榜する。
BMWは、後輪駆動車では、600psを取り扱えないと判断したが、後輪駆動をベースとする4輪駆動システムの多くがそうであるように、殆どの走行において、スタンダード4WDモードを選択し、電子制御を起動させておけば、このクルマは、基本的に後輪駆動車である。
良い見識である。究極のドライビング・マシンは、フロント荷重でもいけないし、50:50の4輪駆動システムでもいけない、何故ならそれらはアンダーステアを誘発するからである。フロント・ホイールは駆動されるだけではなく、元々操舵の機能を担う。
つまり、フロント・ホイールは駆動するだけでも荷が重いのである。M5のバランスの取れたキャラクターを理解したうえで、基本的に後輪駆動としたことは、間違いではないと思う。
最新のM5もまたバランスの取れたキャラクターを有している。しかし、同時に快適でもあり、このクルマは設定によってあらゆるドライビング・モードが選択できることを考えると、あらゆるキャラクターを演じることが可能でもあるということである。
このことは、ちょっとした問題を提起する。何故なら、究極のドライビング・マシンが究極の調停者を各ホイールに忍ばせていることになるからである。
ダンパー、ステアリング、パワートレインを3つのモードから選択することができ、加えて、シフト・レバーの上に付いている小さなスイッチを介して、これら3つのモードにおける、ギアシフトのレスポンスを調整することができるのである。変速機には、「スポーツ」モードは存在しないが、回転域の少し速めか遅めでシフトさせることで調整をしている。よく考えられたアイデアだと思う。
そして、このクルマの4輪駆動システムは、標準4WD、スポーツ4WD、そして後輪駆動の3つのモードを提供している。そして、電子制御に関しても介入度合いを、標準、やや少なめ、完全にカットと設定している。