追悼 マツダ山本健一元社長 歴代ロータリー、今のると? 試乗

公開 : 2018.01.07 15:40  更新 : 2018.01.07 16:30

コスモ、乗ってみると?

それから50年が経ったが、今でもこのクルマは動く。オリジナルの1968年製コスモ110S(シリーズ2のクルマで、ツインローターの982ccエンジンから130psを発生し、ホイールベースは38cm長くなっている)は、英国に現存する数少ない走行可能なクルマの1台である。

低くて繊細。美しいナルディのウッド・ステアリングの前に座るとため息が出そうになる。どうやっても頭は屋根のライニングに当たってしまうが。外観同様、インテリアもとてもイタリア的だ。

垂直のダッシュは黒地に白の文字盤で埋まり、ロッカー・スイッチとトグル・スイッチは所狭しと並び、助手席の右ひざの上には調整可能な可愛らしいマップ・ライトまでついている。

半世紀前のコスモは発進を渋るが、いったん走り出せば、良きヴァンケルらしくエンジンはぞっとするほど滑らかだ。またパワーも130psあるので、現代のどんなリッターカーよりも速い。

4速のギアボックスはちょっとあいまいで、時々3速をしっかり探す必要があるが、いったん走り出してしまえば、この排気量のクルマとしてはまことに驚くべきパフォーマンスを持っている。

車重も1トンを切るので、ロータリーの大きな欠点であるトルク不足も問題にならない。現代のクルマの流れについていくのも訳ないことだ。1960年代のブレーキと重くてスローなステアリングに目をつぶりさえすれば。

次は40年の月日をすっ飛ばして、ロータリー誕生50周年を祝う英国マツダが用意してくれたもう一台の白いクルマに移ろう。2007年のRX-8だ。

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