追悼 マツダ山本健一元社長 歴代ロータリー、今のると? 試乗
公開 : 2018.01.07 15:40 更新 : 2018.01.07 16:30
RX-7とポルシェ924
1978年に前田又三郎がデザインしたRX-7は、シャープなノーズ、リトラクタブル・ヘッドライト、包み込むような大きなガラスのテールゲートにポルシェ924の影響がはっきりと現れている(息子の育男は後にRX-8をデザインすることになる。血は争えないものだ)。ポルシェほど大きくはないが。
ふたたび、日本の税制のおかげで -狭い車幅はそのまま、エンジンは1.5ℓ以下(ツイン・チャンバーの12Aの排気量はたったの1146cc)- このスポーツ・クーペは価格的にも有利だった。
しかし、今日のクルマには本当に驚いた。パフォーマンスやルックス(ともに十分素晴らしいが)のせいではなく、ショールームに保管された状態そのままだったからだ。
C391 USSは1985年に閉店したスコットランドにあるマツダのショールームに展示されていた。そのディーラーさんはRX-7が好きだったので、除却せずに車庫に入れてメンテナンスを行い、エンジン・コンディションを保つため年に1回、短時間走らせていたのだ。
そのため、マツダがこのクルマを入手した時にはオドメーターはたったの80kmだった。1985年当時の新車の香りのするグレー・クロスのドライバー・シートに身を沈めてみる。オドメーターはようやく300kmを過ぎたところだ。お値段? マツダは言わないが、当然、数台の初代RX-7から部品の交換が行われているし、中には日本のマツダから直接取り寄せるしかない部品もある。
わたしが十代になる前に製作され、以来ほとんど走っていないクルマを運転するのは、幻覚を見ているような気分だ。リストアもされておらず、全面的なリフレッシュもしていないのに、まだ新車のような感じだ。