マセラティ・レヴァンテS試乗 ガソリン車は英国で初 ディーゼルとの比較も
公開 : 2017.12.29 11:10 更新 : 2017.12.29 11:30
ステルヴィオ/レンジローバースポーツとの違い
スポーツ・ボタンをもう一度押すと、車高が20mm下がり、ダンパーは硬くなる。ウインター・タイヤであっても、レヴァンテSのハンドリングは操舵性に優れ正確。速いスピードでコーナーへ飛び込んでも、フラット・ライドと落ち着きを保つ。
同価格帯のアルファ・ロメオ・ステルヴィオ・クアドリフォリオのように、その走りがエキサイティングで、車格を忘れるような俊敏さを持っているわけではないが、かといって、フロントのグリップやコーナーの中腹での車両制御に物足りなさを感じたりすることはないだろう。ダイナミクスの観点からは、このレヴァンテSは、とてもよく仕上げられている。
旧モデルの油圧ステアリングは完成度に欠け、満足ゆくものではなかった。よって電動ステアリングに置換されても、それほどの嘆きはない。新しいシステムは、適度に重く、俊敏で、とても正確である。よって、油圧ステアリングの返り咲きを求める声は上がらないだろう。
レヴァンテのオーナーにオフロードへ臨むことを薦めることは、ほとんど意味のないことであるが、このクルマの正義のために付け加えるなら、泥や轍のひどい悪路や60cm程の水路における、良好な走破性も備える。
通常の走行では全てのパワーを後輪に送る一方で、後輪のスリップを認識したり、オフロード・モードを選択し車高を上げると、半分のパワーが前輪に送られる。
一部に量産品とも思われるトリムが存在するが、それを除けばレヴァンテのインテリアは高品質のレザーと造りの良さで、とても上質な雰囲気を持つ。
レンジローバー・スポーツが持つ、全面に渡る豪華さには適わないかもしれないけれどレヴァンテはこのクラスにおいて良質なキャビンを持つ。