メルセデスSL65 AMGブラックシリーズは今、「買い」なのか?
公開 : 2017.12.30 17:40 更新 : 2017.12.31 13:21
考えるより走れ! 「加速の塊」の価値
走り出してすぐに、幸運にもブラックシリーズがどんなクルマなのか、理解できた。容赦ない、常識を遥かに超えた、加速の塊だ。
リアタイアはワイド、フロアパネルは強固。しかしサーキットのドライ路面をもってしても、ふたつの駆動輪は蛇行しようと暴れまわる。 トラクション・コントロールが介入するまで、それが続くのを待つしかない。
ターボチャージャーの機械音と気流音が鳴り響く。高音の叫びとトラクション・コントロールのノイズが重なるサウンドトラックとともに、SLは強烈に加速を開始した。
5速のオートマティックは、今日では旧式的に思える。シフトアップする際、パワーとノイズがもう一度襲いかかるまで、若干の間があくものの、十分良く機能している。ブラックシリーズの巨大なトルクでは、近代のトランスミッションは手に負えなかったのだろう。
ハンドリングに関しては、この加速体験からいうと、二の次といったところか。
ボディロール以外の動きを許さないほどの硬い乗り心地だが、SLの車重を避けることはできない。スロットルをゆっくり開けるとプッシングアンダーの傾向がある反面、急激に深くスロットルを踏み込むと今度はテールが泳ぎだす。ただこの場合、無慈悲なスロットルカットと、トラクション・コントロール警告灯の点滅が待っている。