驚愕と畏怖、オーテック・ステルヴィオ 日産とザガートの合作 試乗記
公開 : 2018.01.08 15:40 更新 : 2021.03.05 21:33
ステルヴィオ 実際に見てみると
今日ここにあるステルヴィオは、最近英国諸島にたどり着いたと思われる2台のうちの1台で、有名なコレクターであるダレン・カニングハムがマン島自動車博物館に展示していたものだ。
すぐそこの左のほうにあるクルマの外観はフランケンシュタインのようにつぎはぎだらけだ。この奇怪なミラーを別にすると、ステルヴィオのディテールを理解することは難しい。
スモークの入ったパースペックスのテールライト・レンズはとても80年代風だが、プッシュボタンでポップアップするドアハンドルは見ても触れてもまさしく50年代風だ。
ザガート製ボディを纏ったフィアット・オット・ヴュかマセラティA6のような。ステルヴィオ専用の16インチのBWAホイールは、タイヤ・バルブのステムを冷やすために設けられたNACAダクトを除き何の飾りけもない。
中を覗いてみると、ステルヴィオのキャビンは日本風というより明らかにイタリア風だ。そうはいっても、インパネとセンター・コンソールはレパードから拝借したものだが(ギア・レバーも同じ)、レザーが貼られている。
実際、屋根のライニングからリア・トレイに至るまで、ウォールナットがはめ込まれている一部を除いて、何もかもがレザーかスエードで覆われているのだ。ザガート・デザインのステアリング・ホイールもこのクルマ専用で、銀の下地に青の計器盤も奇抜だ。
キャビンは贅沢でこの上なく快適だ。広大なガラスエリアのおかげで視界も最高である。少なくともクルマの中からは大地を踏みしだくGTそのものだと感じられる。唯一の問題はラゲージ・スペースが少ないことだ。トランクはスペア・タイヤに半ば占領されている。
火を入れても、2基のギャレット製ターボを備えた3ℓDOHCのV6エンジンが雄たけびを上げることはない。とても洗練されている。チューニング大好き少年の喜ぶようなものはないのだ。少なくとも、Dレンジを選択して動き始めるまでは。
びっくりするのはそのあとだ。