すべてを勝利に捧げる生活

「わたしは常に人生を、勝利に捧げてきました」と、これまでの力闘と、消えることのない戦績に対してのプライドをにじませるように、強い口調で言う。

「ルイスは常に最高のドライバーのひとりであり、同じクルマで戦ってきました。勝利にフォーカスする以外、方法はありません」

少し軽く聞こえてしまう部分もあるかもしれないが、さらに詳しく尋ねてみると、彼がその勝利に対する絶え間ない追求には、多くの思慮も含まれていることを示してくれた。

「ワールド・タイトルの獲得が、わたしの人生そのものでした。家にいる時でも、心は常にレースを向いていて、すべてを注ぎ込んでいました」

「そのためにはリラックスして、エネルギー消費をどれだけ減らせるか、意識していましたね。家族と一緒の時間でも、立ち上がらずに座ったままを保ち、余計なエネルギーを使わないようにしていたんです」

「旅行も、できるだけ短い日程を組んで、自分のために充てていました。平穏時は、どうしたら速く走れるかを考えたり、エンジニアと速く走れる方法を、電話で話し合うための時間でした。それが日常です」

2016年、ロズベルグは、今考えると非常に重要なふたつの変更をしている。そのひとつは、ほんのわずかな時間でも、レーシングカートに乗る機会を率先して作ったこと、ふたつ目は、思考方法に関するトレーナーを雇ったこと。

「トレーナーは、わたしが職業として考えていた自動車レースに対して、もっと積極的になった方が良いと教えてくれました。そして、大きな視野、総合的なマインドセットを得たほうが良いと」

アグレッシブというのは、冷酷さなのか、と尋ねてみた。

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