ルイス・ハミルトンの強さ、ライバルが語る(1) ニコ・ロズベルグ 2016年F1チャンピオン
公開 : 2018.01.27 15:40 更新 : 2018.01.27 19:00
引退を決意した時
「アグレッシブというのは、冷酷さですか?」
ロズベルグは、イギリス人の記者には悪者扱いされたくないと意識しているのか、視線を変えた。
「いいえ。ワールド・チャンピオンになるために、冷酷になる必要はないと思います。ルイスとわたしは、お互い尊敬しあっていました」と強調する。
そして、ドライバーズ・チャンピオンとして記録されることが決まった時、引退の潮時が来たと感じたようだ。
「これまでの人生をかけた目標は達成できました。そして、もう一度勝ち取るための、より良い方法を、想像できなかったのです。これまで巨大な努力が必要でした。凄まじく熾烈なレースに向けて、膨大なアドレナリンを放出させることは、容易ではありません。また、全てが完璧でなければ、ワールドチャンピオンのタイトルは獲得できなかったでしょう。その機会を得たことは、名誉なことでした」
タイトルを得ること以上に、ルイスに勝つことに意味を感じていたのかもしれない。慎重に気持ちを話してくれたと思う。またそれは、ワールドチャンピオンを獲得するために、すべてのひとを倒さなければならないという、厳しい決断でもあったに違いない。
上品な彼は口にはしなかったが、自分ではなく、これからは彼の同僚に賞賛を与えてほしい、と示唆しているように思える。
「繰り返しになりますが、われわれはお互いに敬意を払ってきました。彼と戦い、勝利できたことはわたしの誇りです。12才の時からお互いにレースをしてきて、彼がどれだけ速いかを知っています。彼に勝つということは、極めて大きな栄誉に違いありません」