趣味からプロのレーサーに変わる瞬間

「わたしの父と祖父は、レース観戦によく連れて行ってくれました。わたしは12才でレーシングカートを始めたのですが、ほとんどの子どもたちは、8才位から始めているのです。わたしはF1を夢見ることもなく、趣味の延長のようなものでした」

しかし結果を残した彼に、知り合いが幾つかのスポンサーを見つけてくる。趣味からプロのレーサーへと、切り替わる可能性が生まれたのだ。

2002年のシーズンでは、ワッツは6勝を挙げ、グリーンとハミルトンに対して、優位なリードを前半に築いた。「その年の始め、レースで優勝するか、レーサーとしてのキャリアに幕を閉じるか、そのことしか考えていませんでした。わたしがシーズン前半に勝てた理由は経験によるもので、ジェイミーとルイスが経験を積むまでの間に、ポイントを獲得できただけということは、わかっていたんです」

ハミルトンを抜いて、そのシーズンで2位を獲得したのは、グリーンだったと振り返るワッツ。「われわれはお互いを強く意識していました。チームメイトではありませんでしたが、お互いをとてもリスペクトしていたんです。走行データは公開されていたので、わたしがルイスを克服するのにも役立っていたと記憶しています。事前に十分真剣なテストが行われていて、彼はチームをリードしていましたから」

ハミルトンにまつわる瞬間は今もはっきりよみがえるようだ。

「彼は極めて負けず嫌いでしたが、100％フェアでした。一度、スネッタートンの1コーナーでクラッシュしたことがありました。お互いに1コーナー目がけて走っている、レース上でのアクシデントです。通常は相手を責め合うのですが、われわれはすぐにレースを再会しました。緊迫した状態にはならなかったのです」

ストーリーは他にもある。

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