ルイス・ハミルトンの強さ、ライバルが語る(2) ダニー・ワッツ 2002年フォーミュラ・ルノーUKチャンピオン
公開 : 2018.01.28 15:40
ルイスとの出会い、別れ、その後
「別のレースで、軽く接触したこともあったのですが、大きな問題には至りませんでした。その後、彼はプラクティスをやめてしまったので、自分が優位になったな、と思いました。普通のドライバーなら、調子を取り戻すまでに時間が掛かるのです。しかし、クオリファイでも本戦でも、タイムシート上の彼の名前がどんどん上位に登ってきたのを覚えています」
また、彼はシーズン終盤の、ブランズハッチのショートコース(インディー)のエピソードも振り返る。「ショートコースなので、クオリファイでは、0.1秒の差で5位近い差が付きます。ルイスはクオリファイを0.2秒差で、本戦では約10秒の差をつけて優勝したんです。わたしはシーズンのチャンピオンとしてポディウムに上がりましたが、虚しいものでした」
タイトルを獲得したワッツはF3へと昇格し、ルイスはフォーミュラ・ルノーに残ることとなった。そこでワッツはレースでの成功体験を味わうが、その後、3人のキャリアは、異なる道を辿った。
「もしF3に昇格した年に、ポディウムに立つことができたとしても、F1へステップアップすることは考えていませんでした。サーキットでは、もちろん全力で戦いましたが、実際はレース後のパーティに参加する方が楽しかったのです」
「わたしは幸運だと実感していました。特に才能があったわけではなく、職業的に努力した感じでしたね。その環境を楽しもうと、決めたのです」
多くのGTシリーズやル・マン・カテゴリーで成績を残してきた彼は、37才の時にフォーミュラカーへの夢を諦めると同時に、レーサーを引退した。ワッツは今、レーシングドライバーのコーチとして世界的に活動し、次世代のレーシング・スターを育てたいと思っている。
「必要なのは、速さだけではありません」と彼は言う。「自分にあったステップアップ、冷静な頭脳、支えてくれるチームなどの、総合的なパッケージが欠かせません。また、これはレーサー自身で準備することは難しいもの。わたしから教えられる、最も大きな要素かもしれませんね」