ルイス・ハミルトンの強さ、ライバルが語る(3) ジェイミー・グリーン 2004年ヨーロピアンF3チャンピオン
公開 : 2018.02.03 17:10
とにもかくにも負けずぎらい
グリーンは当時のハミルトンとの思い出を話す。トレーニングキャンプで、スキーのジャンプ台の横に設けられている、階段を昇り降りした時のこと。「ルイスは遅い方で、みんなが折り返し地点を回って登り始めても、まだ階段を下っていました。そして、往復回数を端折って先にゴールしたんです。卑怯だった訳ではなく、ズルだとわかっていても、純粋に彼は勝ちたかったんだと思います。彼は突出した熱心さと、強い気持ちを持っていました」
サーキットでも、ハミルトンのマシンは目立っていたと言う。
「彼は8才の頃から毎週末レースに参戦していました。理由はそれだけではないでしょうが、彼は違いました。最終ラップで、勝利に有利なポジションを選ぶことに秀でていたと思います。レーシングカートでは団子状態になることが多く、順位も激しく入れ替わるのですが、ルイスはどこに居るべきかを見極める力がありました。正しいポジションを狙う、マスターでしたね」
また、ハミルトンがF1にデビューした初シーズンで、彼の動きを逐一観察し、その不自然さが面白かったとも振り返る。
「マクラーレンの初シーズンから入賞し、優勝するとは思えませんでした。間違いなくクルマは速くなりましたが、動きは、彼が以前乗っていたマシンを大きくしただけのようでした。ルイスがF1にステップアップした時には、自分の持つ才能と、経験を組み合わせる素晴らしい力を得ていたのでしょう。カートは毎週末、予選と決勝が開かれますからね」
ハミルトンを賞賛するグリーンだが、多くのファンと同様に、フェルナンド・アロンソの初シーズンの時のように、本当に強いマシンで戦うことを見たいと思っている。
「DTMでは、0.5秒差で10位ほどの差がつきます。F1で0.5秒と言えば、今のメルセデスなら、平均的なラップタイムの範囲内です。たとえ調子が悪くても、2番手には着けるでしょう。彼と同じスキルを持ったドライバーが、同じマシンをドライブしたらどうなるのか、見てみたいですね」