DBSは高いか安いか

　
DBSがもう少し安ければ……というのは、もちろんかつての旗艦ヴァンキッシュとの価格差を受けてのことだが、フェラーリ599と比べてもいささか高すぎるのではないかと思われる。

今回、試乗した599には、オプションとしてアルミ製ブレーキキャリパー、BOSEオーディオシステム、20インチ・ホイールなどが装備されていたが、その総計は約100万円だ。走りに直接関係するパーツであるブレーキとホイールだけなら、わずか57.7万円にすぎない。それを加えてもなお599のほうが価格は安いのだ。 　

DBSが高いと感じさせる理由の筆頭がエンジンだ。DBSの6.0ℓV12のスペックは、517ps/6500rpmと58.1kg-m/5750rpm。DB9用を多少手直ししてパワーアップ（＋60ps）を図っただけのものに過ぎない。

それに引き替え599は同じく6.0ℓV12ながら、620ps/7600rpmと62.0kg-m/5600rpmを発生する。また、素性を見ても違いは歴然としており、599のユニットはエンツォのV12と同じテクノロジーがふんだんに用いられた専用開発品だ。

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