アストン マーティンDBS vs フェラーリ599 価格は互角、走りは? 前編
公開 : 2018.01.27 10:10 更新 : 2018.01.27 11:34
前哨戦は599の圧勝
599がなぜ高価なのか、どこにコストがかかっているのかを垣間見た思いだ。特に2台の室内を見比べたときにそれを実感する。
単独で見ればDBSの室内も素晴らしい。コクピットに乗り込むと深いバケットシートが身体をぴったりとホールドし、調整幅の広い革巻きのステアリングホイールが、ほとんどどんな体型や体格のドライバーにも快適なポジションを提供してくれる。ことこの領域に限っていえば、DBSはまさに出来がいい。
けれどもほかの領域では、アストンはひどく的外れに見えて仕方がないのだ。
例えばメーターは派手すぎて視認性が今ひとつで、その針は誰の目から見ても逆回転に回り、ナビゲーションシステムは古くさく、操作系統は人間工学的に見て使いにくいものが多い。
ハザードボタンは信じられないほど小さいし、エンジン始動手順は恐ろしく複雑だ。DBSは室内をあまりにも過剰に演出しようとしているように見える。基本的な部分はおおむね申し分ない仕上がりなだけに残念だ。
マニュアルギアボックスの動作も格段によくなったし、スロットルペダルとブレーキペダルの踏み応えも申し分ない。ところが、オペル・アストラVXRから拝借したパーツにアルミ塗料を吹き付けたようなシフトレバーを見た瞬間、がっかりしてしまう。
このモデルの開発には莫大な費用がかかっているはずだが、できあがったクルマはそれほど高級に見えない。残念ながらそんな高級感の乏しさが、DBSのインテリアの少なからぬ部分に感じられてしまう。
後編につづく