エンジンのパフォーマンスで決着

　
直線路に限れば、DBSはある程度まで599に果敢に食らいつく。特に50km/hから120km/hの速度域では、DBSの走りは実に見事だ。その領域での速さは本当に強烈で、フルスロットルまで踏み込むのを躊躇してしまうほどである。そしてレブリミットまでの最後の3000rpmで、エンジンはセンセーショナルな咆哮を発する。

　
だが、こうしたDBSの走りに酔いしれ、「これなら直線では無敵かもしれない」と思い始める頃、599が牙を剥く。フェラーリのV12がそのスウィートスポットに達したとき、DBSのドライバーはいったいなにが起こったのか理解できず、狐につままれたような思いを味わうことになる。

DBSがいかに感覚的に速いクルマだとしても、そのエンジンは6800rpmがリミットなのを忘れてはいけない。そのとき599のV12は、ちょうどその本領を発揮する頃なのだ。

599はトップエンドの2500rpmで本当に凄まじい速さを見せつける。DBSがいくら頑張っても、599の絶対的なパフォーマンスにはとても追いつけない。
　
ギアシフトも599のほうが優れているし、アストンはできるだけ早くDBSにパドルシフト仕様を用意すべきだ。ハイスピードからのブレーキングでも599にはおよばない。

ただし、この強烈な制動能力のどこまでが高価なセラミックカーボン製ブレーキによるものなのかはわらかない。というのも、スタンダード仕様のブレーキを装着した599をまだテストしたことがないからだ。

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