最速ワゴン決定戦 BMW 5ツーリング vs アウディRS6アバント 前編
公開 : 2018.01.28 09:10
RS6が2.86、M5が3.25。これ、1ps当たりの荷室容量です。決して効率は良くないですが、それを代償に手に入れた速さとはいかほどのものか、荷物満載で確かめます。判定を下すのは『飛ばし屋』クリス・ハリス。AUTOCAR JAPAN 2008年5月号よりの再録です。
もくじ
前編
ー RS6は苦労知らずのパフォーマンスカー
ー トルク命のロケットワゴン
ー 嘘みたいなスペック、冗談みたいなウエイト
ー 文字通り足枷となるその重さ
後編
ー ゴキゲンをジャマするトランスミッション
ー アウディのベストには届かない
ー 毎日のアシにするならRS6がベター
ー 客観的にはターボ四駆 でも、自然吸気FRの誘惑も捨てがたい
RS6は苦労知らずのパフォーマンスカー
違いはそう、トルクにあった。それと、あと四輪駆動。事態がM5のドライバーにとって心安からぬものであることを物語っている、確かな証拠があった。
あらゆる2速コーナーからのRS6の速さときたら。走りのマニュアル『苦労知らずのパフォーマンス』には、この速さは「ウェント」であると書いてある。ゴーじゃなくて過去形。気がついたらそのコーナーはもう背後。ぶっちゃけ、そんな感じ。ひたすら。
ツインターボV10がグオオッときて、4WDのトランスミッションはどっちのアクスルにどんだけのトルクを配分するかの計算問題をテキパキ処理して、でもって……ああそうだ。いっちゃった。車重2.1tエステートカーでこの走り。ありえないんですけど。
一方その頃、M5のドライバーは無力。対抗しようにも力が出ない。ヘナヘナッ。路面はドライでしかも舗装表面はタイヤでガリガリ引っ掻ける絶好の状態なのに、それでもなす術なし。507psのワゴンは。連続バンジージャンプみたいなキョーレツな走りを淡々とこなし続けるアウディが相手だと。
前方になんらかのターゲットを捉えつつ、1速でコーナー出口へ。その時点で、ゲームはすでにこっちのもん。出口でのスピードを稼ぐべく、エレクトロなんたらをスイッチオフ。その時点ではもうゲームオーバー。
あとはそう、路面に新しい2本の黒線をペイントしてやるのみ。そしてそのあいだも、しつこいようですがアウディは突っ走り続ける。地平線の彼方へと。引っ張り込まれるように。ギャップ拡大。ひたすら拡大。