スバル・インプレッサWRX vs ルノー・メガーヌR26 vs VWゴルフGTI 回顧録
公開 : 2018.01.26 16:20 更新 : 2018.01.26 18:41
予期せぬハンドリングとWRCマシン譲りの乗り味
WRXのエンジンにはこのように、ほかの2台に比べ明らかに見劣りする点と独特の捨て難い魅力が共存しているが、それはハンドリングでも同じである。確かにトラクションの高いクルマなので、あわよくば高速コーナリング中のラインをスロットル操作で修正できるかも、と思うかもしれない。
だが実際には、いくらスロットルペダルを踏んでもラリードライバーのようにクルマをコーナーで振り回すことなどできず、結局はアンダーステアに終わってしまう。そのくせ、雨の日にタイトなコーナーやラウンドアバウトを抜けようとしているときには、すぐにオーバーが出てしまう。
R26の235、GTIの225に対し、WRXのタイヤ幅は205しかない。インプレッサがほかの2台に比べるとタイヤにハンディを抱えるのは確かだが、限界時のグリップ性能は少々期待はずれだった。少なくとも濡れた路面ではそう感じた。
しかし、ずるずると滑るアンダーステアの範囲内で走らせているときにスロットル操作でたやすくラインを修正できる点や、正確でフィールに富んだステアリング、大きな凹凸も難なく処理してくれるややゆったりとした乗り心地のサスペンションは、WRCマシンの血統を感じさせる部分だ。こうしたゆったりとした乗り味と独特のエンジンサウンドは、ほかのクルマとはまったく異なる世界を醸し出しており、それがWRX最大の魅力といえよう。