ポルシェ911カレラT試乗 50年前の「T」とは趣旨替えの仕上がり
公開 : 2018.01.15 11:40
どんな感じ?
「レス・イズ・モア」が生む、想像以上の速さ
これらの変更を911に施すというのは、われわれの想定外だったが、911に何らかの変化を加える必要があったという事だろう。
遮音材が減らされているため、エンジンの回転数を上げている間は5%程エキゾーストノートが増すが、エンジンスタート時に、ポルシェ935ルマンの様な威勢のいいサウンドを発するわけではない。また、カレラTと標準のカレラSを試したが、同じ速度で走行した場合、エンジン音の違いは特に感じられなかった。しかし、その走りには驚かされる事となる。
驚くべき点は、想像以上に速く感じられるということ。様々な装備が加えられているとは言え、50psものエンジン出力の差があるカレラSと比べても、ほとんど変わらない俊足なのだ。
911の様なクルマでは、車重増加を招く追加オプションを選択する度に、そもそも911を選んだ大切なスピリットを少しずつ削っている、ということに気付かされる。
30年に渡って911をドライブし、レポートしてきたが、「レス・イズ・モア」と言える純粋さやシンプルさの重要性を、このクルマは完璧に物語っている。読者のみなさんも、日常的に気づいているだろう。
もし、このカレラT以上に、ドリフトしやすい一般道に対応できる911を探しているならば、GT3系統をお勧めすることになる。