マイクロカー「ピールP50」に試乗 独特の世界観、理由はどこに?

公開 : 2018.01.20 10:10  更新 : 2018.01.20 10:51

オリジナルに限りなく近いスペック

DB4GTの復刻版がそうであるように、現行のガソリン版P50はオリジナルのスペックに極めて近い。エンジンはピール言うところのミドシップで、駆動するのは後輪。ただし、トランスミッションはATだ。前後重量配分は50:50で、燃費は39km/ℓ近い。

ドライバーの下に積まれたホンダの二輪用空冷単気筒は4.9psを10000rpmで発生し、CVTを介してチェーンで後輪を駆動。リバースギアも備える。フロントには単発ウィッシュボーンとダンパーを、リアにはトレーリングアームとコイル+ダンパーを、それぞれ配置する。

ブレーキはケーブル式のドラム。78kgの車体は、ドライバーである自分の体重と同程度だ。最高速度は45km/hに達する。

1ピースの小さなGFRPボディは全長1371mmで、全高も同じくらい、全幅はかろうじて1mに届くといったところ。1枚きりのドアを前に、身長190cmをどう乗り込ませるのか途方に暮れた。後ろ向きに乗り込んで、脚を畳み込むのだとレクチャーされるまでは。

まさに「クルマを着る」感覚

脚のないダイニングチェアーのようなシートに座り、シートベルトを締めると、クルマに乗っているというより、クルマを着ているような感覚。3スポークの大きすぎるステアリングホイールは、45°ほどの角度が付いているが、ほとんど水平に感じられる。その正面に据えられた速度計には、決して届くことのないであろう160mph(約257km/h)まで目盛りが刻まれている。

車内に内張りはほんのわずかで、ほぼGFRPの地肌が剥き出し。スイッチ類は極めてシンプルだが、それがむしろ自然だ。ハンドブレーキの細長いレバーが左側にあり、ずんぐりした金属製のギアセレクターやチョークは右脚の下に、ライト、スターターボタンは右の手元にそれぞれ配置され、右足の前にあるスロットルとブレーキのペダルは小さい。

ガラス面積が広いので、視界は極めて良好。ただし、目の前には常にワイパーが突き出しているのを除けば。前を見渡そうとするなら、シートの上で身体をずり下げることになる。

ルームミラーは、常に自分が覗き返してくることになりそうなので備わらないが、クロームのバックミラーがアンテナのように両側へ突き出しており、後方の視認性は上々だ。

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