トヨタ・ヤリス(ヴィッツ)GRMNに試乗 ヨーロッパ初となるブランドの今後に期待
公開 : 2018.01.19 11:40 更新 : 2021.03.05 18:46
特徴的なドライビング性能
乗り心地も、標準モデルの貧弱さと比較すれば、充分妥当なもの。
いっぽうこのセグメントの中でもヤリスの全高は高い部類に入るため、重心位置は高め。それに、ミニ・クーパーSやフォード・フィエスタSTのようにコーナーに飛び込んでいけるような敏捷性は備わっていない。
しかし、クルマが向きを変える際、アウト側のタイヤからの感触は落ち着いたもの。他のライバルモデルとは異なるコーナリング感覚だが、活発な性格に生まれ変わった。
コーナリング中に重心移動を意識し、エンジン回転数と出力に合わせたコントロールをすれば、ヤリスは充分それに応えてくれるだろう。
ボディコントロールは極めて優れており、ダンピングがしっかりと詰められているため、路面の小さな石や大きな凹みでも最小限の動きで、柔軟にいなす。前輪への荷重割合が高く、重心移動も加わると相応に重くなるが、ステアリングのフィーリングは正確性が高い。
トルセンLSDはやや滑りが多いが、25.3kg-mのトルクを外側前輪に伝達し、クルマと格闘することも可能だ。
ハンドリングは、ライバルとなるホットハッチほどの広い調整しろを備えてはいないものの、コーナリング中のブレーキの加減で、ヤリスの姿勢をある程度操作できる。一般道でもサーキットのように、ドライビングを楽しめるクルマに違いはない。
優れたダンパーとマニュアルギアを備え、ドライブモードは初期設定のひとつだけと極めてシンプル。馴染みのある好ましい雰囲気を持っており、本物のエンジンノイズを響かせる。
これが気に入らないなら、ヤリス・ハイブリッドを選ぶべきだ。