ロードテスト(10) BMW X3 ★★★★★★★★☆☆

公開 : 2018.02.04 11:40

 

はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

乗り味 ★★★★★★★★☆☆

新型X3が旧型からとくに進歩した点を挙げるなら、それは乗り心地だ。その点、初代は不満だらけで、2代目で大幅な改善が図られた。それが、この3代目となる新型でさらに磨き上げられている。

通常なら、19インチ・ホイールを履くMスポーツなどおすすめしないところだが、今回の試乗車はミシュランのサイドウォールが薄っぺらでないこともあって、路面不整を吸収する能力を妨げていない。しかもグリップがしっかりあり、サスペンションをしっかり働かせることができる。そのため、性能の低いタイヤを履いた背の高いSUVが見せるシーソーのような上下動を、おおむね感じずに済むのだ。結果として生まれる、どっしりとした安定感は強く印象に残る。たとえBMWが、初代X5でSUVでもハンドリングを掛け値なしに評価できると証明したメーカーであることを考慮に入れたうえでもだ。

乗員に路面を感じさせないという点では、アウディQ5のエアサスペンションの方がやはり一枚上手で、メルセデス・ベンツGLCもそれに関しては優秀だ。とはいえ、どちらもその代償に、ドライバーと路面のコミュニケーションを犠牲にしている。このX3であれば、もっと軽くて背が低いクルマのように、コーナーへ飛び込んでいくことができるのだ。つまり、BMWはこのクルマで、素晴らしいバランスを実現したのである。しかも、オプションの3モード可変式ダンパーを装着すれば、運動性能の幅はさらに広がる。

走り屋なドライバーとしては、X3のステアリング越しのインフォメーションは、もっと雄弁なFペースやステルヴィオと、無感覚に徹したQ5との中間に位置づけたいが、あらゆるフィールは心地よく手元に伝わる。試乗車にはステアリングレシオ可変機構が装着されていて、低速域での取り回しは楽だった。ところが、タイトなコーナーで切り足した場合には不自然さが感じられる。それでも、これは選ぶ価値のあるデバイスだ。クルマの大きさを感じさせない取り回しにのみ有効なのだとしても、その恩恵にあずかる機会の方が、不利を被るより多い。

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