インタビュー アマチュア集団とガスタービンカー 英国最速485.49km/hの更新に挑む
公開 : 2018.02.11 12:10 更新 : 2018.02.11 19:37
今年のはじめ、一介のアマチュア集団が英国自動車速度記録の更新に挑みました。限られたリソースと「1950年代の技術」にも関わらず、記録更新にあと一歩のところまで迫ったのです。ジェス・クロスがその真実を探ります。
もくじ
ー 英雄に捧げる最速チャレンジ
ー 苦難の末に全開走行へ
ー エンジントラブルとの闘い
ー 好事魔多し
ー 闘志は折れず
ー 詩に導かれて
英雄に捧げる最速チャレンジ
1967年1月4日、14歳のロンドンっ子が喪に服していた。彼だけではなく何千人もの若者が、彼らのヒーローだったドナルド・キャンベルが、愛機ブルーバードK7でコニストン湖での水上速度記録の更新に挑み、そして命を落としたとき同じように彼の死を悼んだのだ。
しかし、あの時キャンベルのために喪に服したデビッド・トレメインは、スピードを恐れるどころか、たとえどんなことが起ころうと、いつの日か彼自身の手で速度記録を更新することを誓ったのだった。
半世紀後の2017年8月18日、トレメインは彼のチームであるデュオ・ステイゴールドのガスタービンカーのコックピットでシートベルトを締めながら、あの時の誓いを思い出していた。彼はこれから英国速度記録485.49km/hの更新に挑むのだ。長期間にわたってエンジンとクルマ探し、そして資金調達といった苦労を乗り越えて計画を進めてきた。
息子のトムとサムを含めた志を同じくする9人の仲間に支えられてきたが資金は常に問題だった。「俺たちは金欠の集まりだから。ブラッドハウンドSSC(くわしくは『目指せ1600km/h ひとりの男の夢 「ブラッドハウンド」物語り』)の対極だよ」と彼は笑う。