メルセデスSクラス vs アウディA8 vs BMW 7シリーズ 大型高級セダン対決 後編
公開 : 2018.01.29 18:10 更新 : 2018.01.29 18:49
モードは「一時の気晴らしのようなもの」
3台ともエア・サスペンションとアダプティブ・ダンパーを備えている。四輪駆動はアウディで標準、BMWではほとんどの場合オプション、メルセデスにはない。
四輪ステアはアウディとBMWともにオプション。その場合はフロントは可変レシオのステアリング・ラックとなる(今回はアウディにのみ四輪ステアが搭載されていた)。
フル・アクティブ・サスペンション(各種アクティブ・セーフティーと自動運転システムに必要なカメラとセンサーを流用して路面状況を先読みする仕掛け)は、Sクラスではオプション、A8では今年後半にオプション設定される。比較するうえで都合のいいことに、今回のSクラスにはついていなかった。
そしてはっきり言えば、3台とも、それがなくても乗り心地が最高にしなやかで快適で洗練されたクルマだった。リムジンといえども、最近では運転して面白いクルマでなくてはならない。もちろん。そのため、今回の3台とも走行モードを切り替えるスイッチを備えている。
乗り心地を固くしたり、ステアリング、変速機、アクセルのレスポンスを鋭くしたり、あるいは柔らかくしたり穏やかにしたり、と自由自在だ。
しかし大抵は、このようなモードは一時の気晴らしのようなものだ。余談だが、このようなリムジンでは95%の時間はデフォルトモードで走行している。つまり安楽で静かでふんわりしているのが一番なのだ。
そして、道路が鏡になったかと思うような穏やかで滑るような乗り心地と、従順できちんと制御されたハンドリングを両立しているという点では、Sクラスはほかの2車よりも明らかに一枚上手だ。
メルセデスの波長の長いコンプライアンスは、BMWやアウディよりも明らかに乗り心地をソフトに感じさせる。おそらく、ちょっと単調で古風でもある。
Sクラスは疑いなく真面目で古典的なドライブ・フィールを持ったリムジンだが、快適さへのひたむきな努力はまったく間違っていない。だれでもすぐに好きになるはずだ。
しかしながら、7シリーズもA8もあらゆる点でSクラスに負けているわけではないので、こちらのほうを好きになる余地だってたっぷりある。