メルセデスSクラス vs アウディA8 vs BMW 7シリーズ 大型高級セダン対決 後編
公開 : 2018.01.29 18:10 更新 : 2018.01.29 18:49
7シリーズだけが「ほかと少し違う」
Sクラスと比べてA8は乗り心地が少し落ちついている。3気室のエア・サスペンションはタイヤからの共鳴音をSクラスよりも遮断してくれるし、四輪ステア・システムは交通状況がタイトな都会でクルマをメルセデスより小さくコンパクトに感じさせる。
一方の7シリーズは、ちょっと違って、街を抜け出して空いた道をかっ飛ばすのに最適なクルマだ。ステアリングは素直でダイレクト、高速でのボディ・コントロールも首尾一貫して安定しているため、前が空いたらアクセルを踏み込みたい誘惑にかられる。
7シリーズは間違いなくGTカーよりで、正真正銘のBMWである。性能も期待通りだ。しかし、乗り心地はほかの2車よりも明らかに喧しく、エンジンもほんの少しだけ下品である。
このような理由で、今日のベスト・ラグジュアリー・サルーンは740Ldではない。また、ここまでの調査結果を注意深く検討し、それぞれがどんなクルマでどんな感じかをしっかりと考えると、我こそはラグジュアリー・サルーンの覇者であると長年主張しているのがSクラスとA8であることは、驚くほど明白だ。1カ月ほど前に新型A8を単独で試乗したときに思った以上に。
独自のセールスポイントを持った2台の大型エグゼクティブ・サルーンのどちらが、比類なく豪奢で豪華な王座のスポットライトを独占するにふさわしいか判定するなど、鬼畜の所業である。残酷? たぶん。だが議論の余地などない真実なのだ。
Sクラスは、新型A8に対しては旧型のときほど優勢ではないかもしれない。しかし、その完成度の高さと強さ ーこの上ないシートの快適さ、素晴らしい乗り心地から、際立ったキャビンの豪華さ、至れり尽くせりの使い勝手、心の底からリラックスできる雰囲気に至るまでー は、まさに偉大なリムジンの手本というべきものだ。
発売からすでに5年がたっているが、この大型メルセデスは生まれつきの有望株なのだ。直接のライバルたちよりもリムジンの本質をよりよく理解している。
そして、空港の迎車レーンや豪華なホテルの車寄せでよく見る光景だが、見せかけだけのクルマとは違って「本当に高そうに見える」。隅から隅まで。これはカメラマンのパピオールが一番よく知っている。そうでしょう、パピオールさん。