ベントレー・コンティネンタルGTCスピード
公開 : 2013.02.15 16:30 更新 : 2017.05.29 19:03
■どんなクルマ?
ベントレー最強の616bhpを発揮するW12エンジンを搭載するコンティネンタルGTCスピードは、間違いなく世界最速の4シーターのオープン・モデルである。
ただし、ベントレーが公表したくない数値もある。それは重さだ。2.5トンに僅かに5kg少ないそのヘビー級の重量のおかげで、パワー・ウエイト・レシオはケイマンRよりも劣っていることになるのだ。とは言え、結果的に、コンティネンタルGTCスピードは、望むと望まざるにかかわらず、最も高価で、最も速く、最もスポーティで、そして最も重い4シーター・オープンであることに違いはない。
■どんな感じ?
ベントレーはGTCに更なるパワーを与えた。その結果、トップ・スピードは3km/hあがり、0-100km/h加速は0.4秒早くなった。また、パワーアップだけでなく、その上がったパワーに見合うように、ベントレーは各部のチューニングを行なっている。スプリング・レートを変え、アンチ・ロールバーを太くし、10mmほど車高を下げ、そしてセボトロニック・ステアリングのソフトウェアを変えてきたのだ。
コーナーは正確にそして素早く回り、グリップも高い。ステアリング・ホイールを通して伝わってくるフィードバックも良好だ。最後にアンダーステアが顔を覗かせるが、その変化は穏やかで歓迎されるべき類のものだ。
よりハードなGTスピード・クーペと同様に、8速オートマティック・トランスミッションとのマッチングも良い。
アストン・マーティンDB9ボランテ、フェラーリ・カリフォルニア、メルセデス・ベンツSL、そしてポルシェ911ターボは、より素早くドライブしていて楽しいクルマである。それらよりも0.5トン以上重たいGTCスピードは、それらとはまったく異なったクルマだ。その性格は、それらスポーツカーとは異なり、スポーティ・モデルに類するものなのだ。
そういった意味において、まず乗り心地の質が異なる。さすがにクーペよりもボディ剛性は劣るが、それでもGTCスピードはぐらつくことはない。そして、その乗り心地は極めてソフトだ。
風切り音にしても、決して声を上げる必要なないレベルにまでチューニングされ、ヒーターも真冬であってもコートを必要としないだけのパフォーマンスを持っていた。
■「買い」か?
スポーツカー・ファンが飛びつくようなクルマではない。レンジローバーよりも遥かに重たいそのウエイトは、急いで肘掛け椅子から出てこようとする太り過ぎの男のような仕草を感じさせるかもしれない。本当のこのクルマの良さが解るためには、共に過ごす時間と距離が必要となろう。数日間、このGTCスピードと過ごせば、真の魅力がわかるはずだ。
そのスペックから想像するよりも遥かに良いクルマであり、本当の意味で完璧なオールラウンダーであるのだ。
(アンドリュー・フランケル)
ベントレー・コンティネンタルGTCスピード
価格 | 167,900ポンド(2,400万円) |
最高速度 | 325km/h |
0-100km/h加速 | 4.1秒 |
燃費 | 6.7km/ℓ |
CO2排出量 | 202g/km |
乾燥重量 | 2495kg |
エンジン | W型12気筒5594ccツインターボ |
最高出力 | 616bhp |
最大トルク | 81.6kg-m/ |
ギアボックス | 8速オートマティック |