BMW M3、世代間対決 E92 vs E46 当時の評価は? 回顧録
公開 : 2018.02.01 16:10 更新 : 2018.02.17 22:23
試乗比較
新型M3は実際のところ、ドライビングツールとしての切れ味はそれほどシャープではない。E46型M3のほうがよりクリーミーでより素直なステアリングであり、エンジンのレスポンスも特に低速から中速にかけてキビキビして感じられる。
それは3000rpmでスロットルを全開にすれば明らかだ。E46型M3のレスポンスはE92型M3のV8よりもさらに迅速だし、エグゾーストの咆哮も少なくとも最初の時点ではより腹の奥に響く。
ドライビングポジションも旧モデルのほうが自然だ。E46型M3のほうが着座位置が低く、ステアリングホイールのリムが手の大きさに合った適切な太さであることがその主な理由である。
一方、新型の着座位置は旧型比4cmほど高くなっており、ステアリングはあまりに太すぎて一体感を持った操作ができない。最近、新型のM3を購入したばかりのわが同僚、クリス・ハリスもこの点については同意しており、すでに彼のクルマのステアリングが細いものに交換されているのがなによりの証拠である。
もっともそれ以外のすべてにおいては、新型M3が先代を完全に上回っているのは間違いない。8400rpmまで使えるエンジンの最後の2500rpmを使い切ることを覚えれば、このクルマは乗り手の意志に完璧に応えてハードかつスピーディな身のこなしを披露してくれる。
さらに乗り心地も旧型よりはるかにいい。確かに19インチのホイールを履いたE46型M3は新車当時でも決して乗り味のよいクルマとは言い難かったが、新車から8万kmあまりを経てもダンパーを交換していないこの個体の場合はなおさらで、わだちや路面のつなぎ目を通過する際の「いなし」がいかにもお粗末であった。