マセラティ・グランツーリスモ vs メルセデスCL500 vs ポルシェ911 vs ジャガーXK 新車時の評価は? 前編

公開 : 2018.02.02 10:10  更新 : 2018.02.17 22:23

マセラティ・グランツーリスモ登場時、AUTOCAR JAPAN2008年4月号に掲載したテストでは、英独の競合を向こうに回したイタリアンGTが、3つのステージで容赦ない比較に晒されます。

AUTOCAR JAPAN誌 59号

もくじ

前編
神はイタリアにあり
その名に恥じぬGTなのか
なぜM6は参加していないのか
vsメルセデス・ベンツCL:洗練性は大きく劣らず
GTとして十分な広さ
美点を曇らせるほどの欠点あり

後編
vsポルシェ911:苦戦は必至。ところが……
想像以上に寛容な挙動
不満はパワーや挙動でなくブレーキに
vsジャガーXKR:GTの真骨頂に迫る
一長一短、甲乙つけがたし
いよいよ判定の時
マセラティの善戦にも覆せぬ結論

神はイタリアにあり

もし神様に出身国なんてものがあったとしたら、それはイタリアに違いない。

国そのものはもちろんのこと、その地の建築、ワイン、食事、クルマ、衣服、女性、気候などを思い浮かべれば、わたしの言わんとするところがわかっていただけるだろう。

なかでも、もっとも美しいのが言葉である。例えば1950年のF1世界選手権で初代チャンピオンの栄冠を獲得したのはイタリア人ドライバーで、その名をドットーレ・ジュゼッペ・ファリーナという。実に優美な響きだが、英語に直訳すると「ドクター・ジョー・フラワー」に成り下がってしまう。しかもフラワーは花ではなく、小麦粉の方。なんとも味気ないではないか。

そんなイタリアの自動車メーカーのなかで、その美しい母国語の響きを最大限に、どこよりもブランドの強みとして活かしているのがマセラティである。考えてみてほしい。もしジャガーがニューモデルの名前をXFではなく「フォードア」にしていたとしたら、とてもじゃないが高級車のイメージは浮かんでこないはずだ。

だが、マセラティがイタリア語で付けた「4ドア」という名前(つまりクアトロポルテ)には、響きの優美さに誰もが皆うっとりしてしまう。

はたまた英語で「グランドツーリング」というと野暮ったく感じられるから、われわれはそれをGTと略している。ところがマセラティが新しいクーペに「グランツーリスモ」という名前を与えると、それはすぐに優雅なクルマを思い起こさせるもっとも印象的な言葉のひとつになるのである。

関連テーマ

おすすめ記事

 
最新試乗記

人気記事