マセラティ・グランツーリスモ vs メルセデスCL500 vs ポルシェ911 vs ジャガーXK 新車時の評価は? 前編
公開 : 2018.02.02 10:10 更新 : 2018.02.17 22:23
第1ラウンド 高速道路
vsメルセデス・ベンツCL:洗練性は大きく劣らず
グランツーリスモには、過去のモデルに欠けていたものを完璧に追求しようとするあまり、いくつかの基本的な部分に目が行き届かなかったところがあるようだ。その結果、一般的にはむずかしいはずの部分が完璧に仕上がっている反面、安価な買い物グルマでもきちんとしているところのデキが悪かったりしている。
まず素晴らしいのは、GTを名乗るクルマにとってもっとも重要な2本の柱、すなわち乗り心地と洗練度である。われわれの知る限り、このグランツーリスモはマセラティとしては過去ベストの仕上がりになっている。そう、クアトロポルテよりも優れているのだ。
グランツーリスモはクーペの後継車に位置づけられるが、マセラティはそのクーペよりも足まわりをソフトに仕立ててみせた。普通に考えれば快適性を高めるのが目的のように思われるが、実際はアルファ8Cで初めて使われた450psの4.7ℓV8を積む、さらにスポーティなバージョンを投入する余地を残しておくためである。
その足まわりの味付けが実に見事で、しなやかでありながら、それでいて頼りなくフワついた感じが少しもない。なめらかに滑るような感触では、グランツーリスモよりも重くてホイールベースが長く、エアサスペンションを備えるCLにはさすがにおよばないものの、極端に神経質なヒップの持ち主でもない限り、乗り心地を理由にグランツーリスモを嫌う人はいないはずだ。
同様に、メルセデスCLのように不気味なほど静かというわけではないが、グランツーリスモの4.2ℓV8のサウンドは耳に心地よく響きながら、それでいて巡航速度では決してうるさく感じない。ロードノイズも風切り音もきちんと抑え込まれている。