マセラティ・グランツーリスモ vs メルセデスCL500 vs ポルシェ911 vs ジャガーXK 新車時の評価は? 前編
公開 : 2018.02.02 10:10 更新 : 2018.02.17 22:23
美点を曇らせるほどの欠点あり
まずひとつは、長身、といっても巨人というわけでなく、身長180cm以上ほどのドライバーだと、ドライビングポジションをうまく合わせられない点だ。
これにはシートポジションが高すぎることと、シートの後方へのスライド量が不足していることが影響している。おかげでバックレストを極端に寝かせないと、ステアリングホイールと身体との距離を適正に保てないのだ。これは初歩的かつ基本的な部分での過ちであり、もちろんメルセデスCLではそんな不満など出てこない。
もうひとつの失策は、シートそのものである。最近のGTでこれほどデキの悪いシートは記憶にない。問題はそのシートバックにある。硬すぎるのとフラットすぎる形状とのせいで、快適性とサポート性がともに不足しているのだ。
それ以外にも不満がないわけではないが、距離を走るうちにさほど気にならなくなる類のものだ。具体的には、ナビの使いにくさと人間工学的な面での不満がひとつかふたつである。
素晴らしく整然としたCLのコクピットほど居心地のいいドライビング環境ではないが、十分に許容できるレベルにあるし、イタリアンカーの個性として享受してもいい。だが、シートとそのポジションの問題に関しては、厳しいようだが目をつぶることはできない。