想像以上に寛容な挙動

そう高をくくって臨んだテストだったが、驚いたことに実際にはまるでそうではなかった。確かにグランツーリスモよりも911のほうがストレートでもコーナーでも明らかに速く、ブレーキもステアリングも優秀で、走行ラインをスロットルで修正するのもスムーズだった。

だが、グランツーリスモの本来の得意領域からかけ離れたサーキットという場所であることを考えれば、その走りは決して非難されるような内容ではない。

サーキットで実施したテストとしては過去12カ月間で最悪の条件下にもかかわらず、グランツーリスモは頼もしいまでのグリップを発揮した。

ステアリングフィールは直感的で信頼感があるとまではいかないが、ハードに走らせることに無意識に不安を抱くような類のものではない。

そして、ひどく濡れた路面で電子デバイスをオフにすれば、必然的にリアが滑り始めるが、そうなっても、その挙動は寛大で慈悲深かった。
　
グランツーリスモほどのサイズと重量があれば、当然それだけスリップアングルも大きいため、それなりにコース幅が広くなければ振り回せない。

けれども、この滑りやすいコンディションにおける限界付近での挙動は、911よりも読みやすいものだった。911も基本的には素直だが、ときどき急激な挙動変化を示し、かなり素早い反応速度を求められる場合があるからだ。
　

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