マセラティ・グランツーリスモ vs メルセデスCL500 vs ポルシェ911 vs ジャガーXK 新車時の評価は? 後編
公開 : 2018.02.02 18:40 更新 : 2018.02.17 22:23
不満はパワーや挙動でなくブレーキに
また、車重1tあたりの出力は911カレラSの243psに対して215psにとどまるが、このクルマに積まれたフェラーリ製エンジンは、パワーウエイトレシオのハンディから想像するほど力不足ではなかった。このV8に不足があるとすれば、パワーよりもむしろトルクだろう。
さらに、このエンジンがその本領を発揮する4500〜7000rpmのあいだに回転を保つ仕事は、ZF製パドルシフト式ATが申し分なくこなしてくれる。
だから、そうやって走らせてさえいれば、グランツーリスモは「マセラティのクルマ」のイメージを裏切らない速さで駆け回ってくれるのである。
サーキットにおける唯一だが大きな不満は、ブレーキである。初めのうちは、制動力不足を感じるのはペダルフィールのせいだと思っていた。だが、路面が乾くにつれて真実が明らかになった。
これほどパワフルな重量級のクルマをサーキットで走らせるには、ブレーキ・システムの能力にあまりにも余裕がないのである。
一方でポルシェは、どのモデルもそのパフォーマンスに見合った最高のブレーキを備えている。この911でも、制動能力に不安を感じることはなかった。