マセラティ・グランツーリスモ vs メルセデスCL500 vs ポルシェ911 vs ジャガーXK 新車時の評価は? 後編

公開 : 2018.02.02 18:40  更新 : 2018.02.17 22:23

第3ラウンド・カントリーロード(2)

一長一短、甲乙つけがたし

本命のライバルとの激しい対決を期待していたならば、初めのうちはつまらない展開が続く。まず、2台とも0-100km/hのメーカー公称タイムはまったく同じだが、現実の世界では明らかにジャガーのほうが速いのだ。

最大トルクで20%以上も勝り、トルクバンドの広さでも有利なXKRは、グランツーリスモよりもシフトチェンジが少なくて済むからである。  

例えば再加速のときに、グランツーリスモのギアボックスがギアを1段落とす必要があるかどうかを判断し、それから動作を実際に行うあいだに、XKRはそのまま先に行ってしまうのだ。

また、仮にXKRのほうもギアを落としたとしても、同じハードウェアを使っているにもかかわらず、その動作がグランツーリスモよりも素早くスムーズなため、やはり差は広がってしまう。
 
これは実に残念だ。なぜならスピードレンジの高い道路でひとたび速度を乗せてしまいさえすれば、グランツーリスモはXKRに勝るとも劣らぬハイペースで駆け抜けることができるからだ。ス

テアリング・インフォメーションの豊富さではXKRにおよばないが、曲がりくねった道でのロール抑制能力は凌いでいる。

このグランツーリスモは濡れて滑りやすい路面でも、その大柄なボディと後輪駆動レイアウトでは不可能に思えるほどのスピードで安全に走ることができるのだ。ブレーキとステアリングがもっと優れていたなら、XKRに屈辱を味わわせていたに違いない。  

また、普通の人がカントリーロードを走るときは、乗員はたいていドライバーひとりではないことも指摘しておきたい。家族といっしょに乗れるのも、グランツーリスモの魅力の幅を広げてくれるはず。

XKRではあまり現実的ではない行為だ。さらにエンジンサウンドも、スーパーチャージャー付きのXKRより格段に魅力的であり、また乗り心地も決して引けを取らないことから、総合的な洗練度においては少し上回っているようにも思える。

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