マセラティの善戦にも覆せぬ結論

それよりも解決のむずかしい問題を、グランツーリスモは抱えている。ドライビングポジションである。

われわれは、シートとステアリングとペダルの位置関係の誤りによってイタリアンカーの素晴らしさがスポイルされていた時代は、とうの昔に過ぎ去ったと認識していた。

しかし、このクルマのひどく出来の悪いシートによって、それが望ましくない復活を果たしてしまったようだ。

　
けれども、全体的に見れば、このグランツーリスモの実力は確実に賞賛に値する。それにマセラティのオーナーになれる興奮が加われば、満足して契約書にサインする人も数多くいることだろう。われわれもそれに反対はしない。
　
これが通常のグループテストであり、単にそのグループのなかからもっともお気に入りの1台を見つけ出すのが趣旨であったなら、過去の多くのテスト同様、911が勝者だっただろう。

だが、今回の真の目的は、グランツーリスモがその名に恥じないクルマかどうか、市販車最高のGTであることを証明できるかどうかの確認にあった。そしてグランツーリスモは、テスト開始前に想像していた以上の素晴らしい善戦を果たした。

　
しかし、すべてのテストを終える前に、ウィナーは文句なしに決まってしまった。今回のテストにおける限り、また今回われわれが設定した評価基準に基づく限り、この4台のなかで最高のGTは、マセラティ・グランツーリスモではない。ジャガーXKRである。

すべての画像をみる　全8枚