メルセデス・ベンツSL63 AMG vs ジャガーXKRコンバーチブル 回顧録
公開 : 2018.02.08 10:10
大幅改良を受けたばかりのメルセデスSLと、当時このカテゴリーをリードしていたジャガーXKの高級コンバーティブル対決です。流麗さを失ってしまったSLは、走りで外観から来る不利な印象を覆したのでしょうか。「AUTOCAR JAPAN」2008年6月号からの再録です。
もくじ
ー スタイリングはジャガーの圧勝
ー 減ったトルク、増えたギア
ー AMG製6.2ℓは高回転域で覚醒する
ー リアルに生臭い話
ー ツウ好みのXKRと万人受けするSL63
ー ますます高まるXKRの好感度
ー 意外な結論
スタイリングはジャガーの圧勝
われわれの目の前にはゴージャスな2台のコンバーチブルがある。メルセデスの新型SL63AMGとジャガーXKRコンバーチブルだ。降り注ぐ南カリフォルニアの輝く太陽。さて、これからどこへ行こうか? などと考える間もなく、カメラマンは「カリフォルニアのリビエラ」だと答えた。それはカリフォルニア州最大の内陸湖、ソルトン湖の別名で、地図で確認したところ、ロスから東に向かってコロラド砂漠を3時間ほど走ったところにあった。
新型SL63AMGと、当て馬のジャガーXKRによるツインテストを行うのに、ほかにもっといい場所はなかったのだろうか? どうしてわたしは聞き覚えのない地名にほとんど警戒心を抱かなかったのだろうか? しかし、このときのわたしには、このあと起きる出来事の10分の1も想像することはできなかった。
あらかじめ強調しておきたいが、乗る前までわたしはSL63のことをよく思っていなかった。その理由は、わたしのお気に入りのコンバーチブルの1台だったSL55AMGが生産終了となってしまったからだ。ひとたび今回のモデルチェンジが悪いほうに作用しているのではないかという疑念を持ち始めると、デザインの変更に対しても否定的に考えてしまう。
ちょっと見てほしい。新型では美しかったフロントマスクが、小さな子供が見たら泣きじゃくるのではないかと思えるようなコワモテに美容整形されてしまった。好みの問題とはいえ、いくらなんでもやり過ぎではないのか。