メルセデス・ベンツSL63 AMG vs ジャガーXKRコンバーチブル 回顧録

公開 : 2018.02.08 10:10

リアルに生臭い話

 
そうこうしているうちに、ソルトン湖に到着した。この湖は、1905年にコロラド川の洪水を防ごうとした治水対策が失敗し、窪地に水が流れ込んでできたものだ。湖底にはソルトンの町と南パシフィック鉄道の線路の一部が沈んでいる。その後、2年がかりで川の流れを変える工事が行われ、新たに流れ込む水源が絶たれことで湖の成長は止まったが、水は淀んでしまった。  

ソルトン湖の周辺には、嗅いだ瞬間に逃げ出したくなるようなひどい臭いが漂っていた。死んだ魚が岸辺に打ち上げられていたが、その多くは無傷のまま干からびていた。それを食べると有毒であると察知して、捕食者たちも自衛本能から近寄らないのかもしれない。  

にもかかわらず、ここには少数、正確には978人のひとびとが住んでいる。だが、取材中に住民には誰ひとりとして会わなかった。米国人は特に皮肉好きというわけではないが、このソルトン・シティをカリフォルニア・リビエラと呼ぶセンスには感心させられる。われわれは嗅覚が悲鳴をあげるまで写真を撮り続けた。


 

われわれは2台のクルマをハードに走らせた。その悪臭から逃れたかっただけでなく、まるで肉体的な攻撃を受けたような強烈な刺激に対し、アドレナリンを全身に行き渡らせなければマズいことになると感じたからでもある。

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