BMW135iクーペ vs ポルシェ・ケイマン vs 日産フェアレディZ 回顧録
公開 : 2018.02.07 17:40
4座クーペならではの優位性
スタイリングのことはさておき、135iの室内には乗り込むとある種の期待感がかき立てられる。現在のほかの多くのクルマに比べてコンパクトだが、必要なだけの広さは持ち合わせており、無駄が削ぎ落とされた空間は膨れ上がってしまう前の911によく似た雰囲気を醸し出している。
電動調整式ドライバーズ・シート(オプションで約18万円)の価格設定はほんの少し高すぎるが、インストルメントパネルはクリアでスクリーン越しの視認性は明瞭だ。視界を邪魔するような不必要な装飾はほとんど付いていない。Zはさらにタイトな感じが心地よく、ケイマンはドラポジに関して最高のクルマの1台だが、ともにキャビン自体は凝りすぎてごちゃごちゃしている。
シンプルさという見地からは残念なことだが、この135iにはGPSナビ(約37万円と高価だが、実に使えるオプション)から前述の電動調整式フロントシート(価格を考えればあまり魅力的ではない)まで、ありとあらゆるオプションが装備されている。その結果として、今回の試乗車はほぼ720万円という、ちょっとショッキングな価格になってしまっている。しかしこれだけのアイテムを満載していてもその操作系は機能的で、いたってシンプルかつ明快だ。この潔さにはZの室内ではおよびもつかず、ましてケイマンの乱雑さ加減ときたら比べるまでもない。
パッケージングに関しては、もはや135iの独壇場である。ケイマンやZとは違って4人乗りであるばかりか、そのリアシートは身長180cmの人間が同じく身長180cmのドライバーの後ろに座れるだけの実用性を備えている。そして、トランクの容量も申し分ない。ほかの2台では得られないユーティリティが、135iにはある。