セアト・トレド 1.2TSI 85S
公開 : 2013.02.16 13:16 更新 : 2017.05.29 18:44
■どんなクルマ?
新しいセアトで、最もセールスを上げているモデルだ。確かにラインナップには、このモデルよりも低い74bhpの1.2MPIエンジンを搭載したモデルも存在する。そのモデルは、価格は安いが、非力で経済性も悪く、CO2排出量も高いため、道路税も高くなる。一方、より強力なガソリン・エンジン・モデルも、効率的なディーゼル・エンジン・モデルも存在するが、価格が高くなってしまうため、トレドの大きなセールス・ポイントを失うことになってしまう。
そういった意味で、この1.2TSIで唯一選択可能なSトリムの14,120ポンド(205万円)は、トレドのスイート・スポットということができよう。
■どんな感じ?
トレドと兄弟モデルになるスコダ・ラピッドのテストで、われわれが得た印象と同じで、大きな印象が残らないクルマだ。もちろん、どこかが間違っているとかいった意味ではない。トルクピークも低く、扱いやすいエンジンだ。静かではあるが、決して活発なパワー・ユニットではない。5速ギアボックスを駆使して前輪に積極的に駆動をかけないと、それなりの走りは披露してくれない。
一方、熱意を持って経済性を重視するドライビングをすれば、16km/ℓ台の燃費を稼ぐことは可能だ。
そのダイナミクスは、印象的ではないが許容できる範囲と言えよう。
前世代のフォルクスワーゲン・ポロをベースにしているため、そのキャラクターは非常に落ち着いたもの。すべてのコントロールは適度な重さをも持ち、気に触るようなこともない。乗り心地も、特にしなやかさはないが、不快な感じはしない。
ハンドリングは、その軽いフロント重量にも助けられることもあり、きびきびとした感じがした。
このクルマの本当の魅力はそのキャビンにある。アイキャッチの強いデザインではないが、がっしりとしたもの。そのマテリアルは、マーク&スペンサーというよりもDIYショップB&Qというものだが……。また、そのトランク・リッドを開けると550ℓの途方もないスペースが出現するのだ。
■「買い」か?
確かにトレドのラインナップの中にあってベスト・チョイスだ。軽いボディ・ウエイトもあって軽快なドライビングも味わえるし、価格と経済性を加味すれば最高の選択だろう。
決して愉しみを求めて購入するクルマではないが、そのバランスとスペースを考えれば、プライオリィ・リストのトップに上げるべきクルマであることは間違いない。
(マーク・ティショー)
セアト・トレド 1.2TSI 85S
価格 | 14,120ポンド(205万円) |
最高速度 | 183km/h |
0-100km/h加速 | 11.8秒 |
燃費 | 19.6km/ℓ |
CO2排出量 | 119g/km |
乾燥重量 | 1161kg |
エンジン | 直列4気筒1197ccターボ |
最高出力 | 84bhp/4800rpm |
最大トルク | 16.3kg-m/1500rpm |
ギアボックス | 5速マニュアル |