ディーゼル逆風、LPG復権は近い? 価格、各国の状況は 「バイフューエル」も
公開 : 2018.02.10 17:10
LPG メジャーになるには
カロールによれば、レンジエクステンダー式ハイブリッドは、タクシーや宅配車両といった、可能な限り低公害が求められるモデルには有望とのことである。
実際、新しいロンドンTXブラックキャブはレンジエクステンダー式ハイブリッドであり、間もなく宅配バン仕様も登場する予定だ。さらにロンドンのルートマスター・バスにも、フォードのプロタイプのプラグイン・トランジット・バン同様、レンジエクステンダー式トランスミッションが搭載される。
オランダのトラックメーカーであるEmossでは、完全な電動宅配車両とレンジエクステンダー式ハイブリッドのトレーラーヘッドを生産しているが、同社によれば世界初の「LPGレンジエクステンダー式EVトラック」を開発したとのことだ。
このモデルではLPGを燃料とする2.0ℓエンジンが一定速で回転することで発電機を動かし、ここからの電力によって電動モーターを駆動させる。シャシー両側に吊り下げられた”ミリタリー・グレード”のリチウム・イオンバッテリーによって、EVモードでは64kmの走行が可能となる。
このトラックの燃費性能は驚異的であり、通常のLPGトラックでは年間のCO2排出量が48tに上るところ、このレンジエクステンダー式のプロトタイプでは、82%減のわずか8.6tに留まるとカロールは主張する。さらにバイオLPGを使うことで、CO2排出量は標準のLPGトラックに比べて94%減に達する。NOx排出量も現行のEU6上限値を下回る94%となり、粒子状物質に至っては「ほぼ排出ゼロ」とのことだ。
巨大なバッテリーに掛かる莫大なコストとバッテリーを積むことでの積載量の減少、そして、充電時間の長さを考えると、貨物トラックでバッテリーを動力源とすることはほぼ不可能であり、さらに重要な点は、レンジエクステンダー式は遥かに安く済むだろうということだ。
LPGが持つ極めて優れた環境性能は、商用車両のグリーン化への試みにおいても未だ十分に活かされているとは言えない。しかし、長期的に見れば、CO2排出量制限が40g/kmにまで引き下げられ、EV革命が市場に根付くのに失敗した場合には、LPGを燃料としたレンジエクステンダー式乗用モデルの復活をも見ることになるかもしれない。