ポルシェ・クラシック、3Dプリンターから9種のパーツ供給 追加20種の検討も

公開 : 2018.02.14 16:20  更新 : 2018.02.14 16:27

959のリリースレバーができるまで

ポルシェ959のクラッチのリリースレバーを製造するためには、まずコンピュータ処理によって厚さ0.1mm以下の粉末工具鋼の層で処理プレートを覆う。そして、不活性ガスの中で、高エネルギーのライトビームを用いて希望する場所で粉末を溶融させ、スチール層を作り出すのだ。

こうして、一層ずつ完全な3次元コンポーネントが製造される。プリントされたリリースレバーは、3t近い負荷をかけた圧力試験と、その後の内部欠陥を調べる断層撮影法による検査にもクリアした。

最後に、テスト車両に取り付けられたレバーを用いた実地試験と徹底的な走行試験により、コンポーネントの完璧な品質と機能が確認された。

他8つのパーツを製造中 さらに20の製造検討

これまで一貫して肯定的な結果が得られてきたことを踏まえ、現在ポルシェでは3Dプリントを使って他に8つのパーツを製造中だという。

具体的には、レーザー溶融法を用いて製造されるスチールおよび合金製のパーツと、SLSプリンターを用いて製造される樹脂製コンポーネントだ。

「SLS」は「レーザー焼結法」の略で、これは融点の直前まで材料を加熱し、残余エネルギーを用いレーザーで目的とする箇所の樹脂粉末を溶解するという方法。全パーツとも、最低でも元の製造期間の品質要件が課せられるが、通常はさらに高い基準がクリアされる。

取り付けたパーツを用いて試験することで、寸法と嵌め合いの精度が確保される。適用分野によっては、オリジナルと同様、多様な材料で作られた樹脂製パーツは、オイル、燃料、酸、光への耐性を有する必要がある。

現在、ポルシェ・クラシックでは、さらに20のコンポーネントの製造についても3Dプリントが適切であるかどうか、試験している最中だという。

メリットは、コンポーネントの3次元デザインデータや3Dスキャンがあれば、製造を開始するための十分な基礎となること。必要に応じて、注文があり次第コンポーネントを製造できるため、ツールと保管コストの節約にもなる。

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