クルマの複雑化 ディーラー整備「一極集中」に? 町のショップの現状は
公開 : 2018.02.17 00:00
ポルシェのスペシャルショップ
ロバート・ピッカーリングによれば、ソフトウェアからは走行距離だけでなく、オーバーレブの有無(下取り価格への影響だけでなく、非常に重要な点だ)や操作ミスの履歴も確認する事ができると知っているのは役立つ知識だと言う。
このポルシェのショップは911 GT3を中心とした最も魅力的なユーズド・モデルの販売だけでなく、その工場では数十年に及ぶ経験に基づいたメンテナンスサービスも提供している。
英国でディーラー以外にポルシェ・インテグレーテッド・ワークショップ・インフォメーション・システムを備えているのはJZMだけだという。さらには過去のものまで含めた正規のポルシェ診断ツールを保有しており、外部ネットワークからポルシェ・ファクトリーに直接リンクすることで、最新の再プログラミングのアップデートも可能となっている。
シニア・メカニックのアンディ・デヴィッドはJZMで15年間働いており、エンジンのオーバーホールを専門にしている。その守備範囲は広く、スタンダードなフラット・シックスから、RSR用エンジン、さらに直近では1968年製2.2ℓにまで対応している。
「ひとつのエンジンをオーバーホールするにはだいたい40時間から50時間掛かります」と彼は言う。「わたしの場合、2週間で1台のペースでオーバーホールを進めていて、現時点では3台か4台の作業中です」
デヴィッドは長年に渡ってポルシェのメンテナンスに携わってきたことで、空冷時代の911の品質の高さと頑丈さ、996における品質劣化や、その後に続く997と991での復活も目の当たりにしてきた。
996のインターミディエイトシャフト(IMS)のベアリング不具合について、彼の同僚のリッキー・ナッシュは「ほとんどがスクラップになったか、修理済み」だと言う。そしてもちろんいまやこの不具合に対する解決策も用意されている。
シリンダー・ボアの摩耗は依然として997が抱える問題だが、最新のエンジンにはなんら問題はない。しかし、「そう断定するには時期尚早ですが」とナッシュは付け加える。