トヨタ、世界初「省ネオジム耐熱磁石」開発 自動車などに利用 レアア-ス資源の需給バランス保つ
2018.02.20
「省ネオジム耐熱磁石」開発の背景
自動車用モーターなどに採用される磁石は、高温でも磁力を高く保つことが重要になる。このために、磁石で使用する元素の内、レアアースが約30%使われている。
強力なネオジム磁石を自動車用途など高温で使用するには、テルビウムやディスプロシウムを添加することにより、高温でも保磁力(磁力を保つ力)が高くなるようにしている。
しかし、テルビウムやディスプロシウムは希少で高価であり、地政学的なリスクの高い金属であるため、これらを使わない磁石の開発は、これまで多く取り組まれ成果が上がってきている。
一方、レアアースの中で比較的産出量が多いネオジムは、今後のハイブリッド車、電気自動車などの電動車の普及を想定すると不足することが懸念されているにもかかわらず、その取り組みが少ないのが現状。
そこでトヨタは、この課題を克服するためにテルビウムやディスプロシウムを使わないだけでなく、ネオジムの代わりに豊富で安価なレアアースであるランタンとセリウムを使用することでネオジムの使用量を削減しながらも、高い耐熱性を維持し、磁力の低下を最小限にすることができる技術の開発に取り組んできた。