EVやハイブリッド、本当にエコか 生産/流通/廃棄で生じるCO2の実態
公開 : 2018.03.03 18:10
3 クルマの使用で生じるCO2
ここでようやく排気ガスの話になるのだが、リカルドによれば、ミドル・サイズのガソリン車の場合、15万kmが寿命だとすると生涯CO2排出量に占める割合は70-80%だ。
15-20%は生産時のものである。ミドル・サイズのバッテリーEVの場合、生産の占める割合はより大きくなる。間接的に「排気」されるCO2は52%、これは充電に使用される電気のエネルギー・ミックスに依存する。一方、生産時のCO2は46%である。
ミドル・サイズのディーゼル車では、走行中のCO2排出量は少ないが生産時のCO2量は多くなる。従って生涯CO2排出量で比べると、同じサイズのガソリン車とディーゼル車ではほとんど差がない。パーツや消耗品を含むメンテナンスの寄与分も小さい。
欧州でのCO2計測はNEDC試験に基づいているが、NEDCは2017年9月により実際の使用に近いWLTP試験に置き換わった。
NEDCの数字が実測値に比べ楽観的過ぎることはよく知られているが、いまだに公式な欧州CO2指標のベースになっており、修正が必要だ。
4 クルマの廃棄で生じるCO2
生産時と同様、クルマのサイズや重量、技術、使用されている素材など様々な要素のすべてがクルマを廃棄する際のCO2排出量に影響する。
解体する際のロジスティック、作業員、材料のリサイクルや廃棄物も同様だ。
もしクルマの解体が容易でパーツの大部分が再製可能であれば、廃棄時のCO2インパクトは少なくなるだろう。廃車にはEUの手続きが必要であるが、現状ではCO2排出に関する様々な角度からの情報が不足している。